メバリング・アジングをしていて、「あともう少し遠くのポイントを探りたい」と思ったことはありませんか? ジグ単では届かない沖の根回りや潮目の表層をゆっくり流したいとき、フロートリグが大きな武器になります。
フロートリグとは、フロート(飛ばしウキ)を使用してジグヘッドを遠投し、表層をゆっくり流すためのリグで、特にメバリングで有効なリグです。アジングにおいても、投げサビキやかご釣りの人が釣れている中、飛距離が足りずアジのいる場所に届かないという悔しい思いをしてことがあると思います。
この記事では、フロートリグの基本、使い方、更には裏技的な使用方法を解説します。
フロートリグの基本
先述の通り、フロートリグは軽量ジグヘッドを遠くに飛ばし、スローに動かすためのリグです。例えば、1gのジグヘッドをジグ単でキャストした場合、条件が良くても飛距離は20mが限度。しかし、フロートリグを使用すれば、1gのジグヘッドでも50m先まで届けることができます。一方で、感度に関してはジグ単には及びません。
ライトゲームにおいて遠投するためのリグには、フロートリグ以外にもスプリットショットリグ、キャロライナリグ、ダウンショットリグなどがあります。これらのリグとの決定的な違いは、表層をスローに引くことができる点です。以下に、各リグの特徴を簡単にまとめました。
リグ | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
フロートリグ | ウキを使ったリグ | ・沖の表層をスローに流せる | ・リグを組む手間がかかる ・絡みやすい |
スプリットショットリグ | リグの途中に重りを固定する | ・軽量ジグヘッドの食い込みの良さを維持しつつ、沖の深場を探れる ・簡単に作成できる |
・汎用性に欠ける |
キャロライナリグ | 遊動式の重りを装着する | ・スプリットショットリグよりも広範囲の中層を探れる | ・フロートリグ同様、組むのが面倒 ・絡みやすい |
ダウンショットリグ | 胴付き仕掛けに類似 | ・スプリットショットリグより汎用性が高い(縦の釣りがしやすい) | ・スプリットショットリグより作成が面倒 |
グループ分けをすると、表層~中層系のフロート、キャロと、ボトム系のスプリットショット、ダウンショットでしょうか。後者のグループについてはフロートとは使用目的が異なりますので、前者に絞って解説をします。
フロートリグとキャロライナリグの違いは、リグに取り付けるものが「浮力体」か「シンカー」かという点です。ただし、フロートリグの中にはフロート単体でもゆっくりと沈むスローシンキングモデルが存在するため、この違いは曖昧になることもあります。
ちなみに、バスフィッシングで使われるキャロライナリグは完全なシンカーを用いますが、ライトゲームではTICT社の「Mキャロ」と呼ばれるものが一般的です。このMキャロは、シンカーに浮力体を追加した構造になっており、フロートリグに近い性質を持っています。
こうした細かい違いはあるものの、基本的には、
- 遠投した先の表層を探るのがフロートリグ
- 中層を探るのがキャロライナリグ
と覚えておくとよいでしょう。
フロートの種類
フロートリグには、大きく分けて2種類に分類されます。1つは中通しタイプ、もう1つは固定タイプです。固定タイプについては、私は使用しないため、ここでは割愛します。(リグを組むのが面倒なので)
私が使用しているのは中通しタイプです。このタイプは、リーダーにフロートを通し、スイベルを介してジグヘッドとフロートの間に適切な長さ(50cm〜1m程度)の先糸を結び、ジグヘッドを取り付ける仕組みになっています。中通しタイプのメリットは、固定タイプと比べて他のリグへ転用しやすく、汎用性が高いことです。飛距離や感度は固定タイプに劣ると言われることもありますが、私自身はその違いを感じたことはありません。飛距離に関しては理論上大きく変わるとは思えませんし、感度についても構造上、中通しタイプの方が優れているはずです。
フロートの浮力にはいくつかの種類があります。例えば、アルカディックジャパン製の『ぶっ飛びRocker Ⅱ EVO』には、残浮力1.5gのHF(ハイフロート)、1.0gのF(フローティング)、0gのF0、そしてフロート単体でも沈むSS(スローシンキング)があります。この「残浮力」とは、その数値以上の重さのジグヘッドを使用するとフロートが沈むことを意味します。
最も汎用性が高いのはFタイプです。1gまでのジグヘッドではフロートが沈まず、それより重いジグヘッドを使用すると沈み始めます。表層を探るには、このタイプが最適でしょう。
HFタイプは残浮力が大きいため、フロートを水面に浮かせたまま、ジグヘッドだけを縦に動かすような使い方が可能です。デイゲームやアジングで表層に魚が浮いているとき(あまりありませんが)に抜群の効果を発揮します。
F0タイプは、私が最も好んで使用するモデルです。フロート単体ではギリギリ沈みませんが、ジグヘッドの重さによって沈みます。沖でジグ単の釣りを行う感覚に最も近く、非常に扱いやすいタイプです。
SSタイプは、フロート単体でも沈む仕様です。私はアジングでよく使用しています。比重が大きいため、当然飛距離が伸びるのも特徴です。

フロートリグの組み方
フロートリグを組むために必要なものは以下の通りです。
- フロート本体
- シンカーロック(ノットプロテクター)
- シモリ玉(必要に応じて)
- スイベル(なるべく小さいもの)
- フロロカーボンライン(先糸用)
フロート本体は説明不要でしょう。まず重要なのはシンカーロック(ノットプロテクター)です。これが無いと、フロートがスイベルの結び目に直接当たり、結束部の強度が低下する原因となります。なお、シンカーロックのサイズ選びには2つの考え方があります。
- フロートがシンカーロックを通過しないサイズを選ぶ
- 最小限のサイズのシンカーロックを使い、シモリ玉でフロートを固定する
私は後者の方式を取っていますが、どちらを選んでも大きな差はありません。ダイワ製のハードシンカーロックの場合、Mサイズであればほとんどのフロートを止めることが出来ます。一方、シモリ玉を使用する際にはSSサイズを使いましょう。

スイベルは、なるべく小さいものを選びましょう。例えば、ダイワのD スイベル SSの場合、最小サイズの12番でも強度は12kgとされています。これなら万が一ランカーシーバスが掛かっても耐えられるでしょう(とはいえ、その前にラインブレイクする可能性が高いですが)。また、スイベル自体の自重もあるため、1g未満のジグヘッドを使うフロートリグでは、なるべく軽量なものを選ぶのが理想です。

先糸には必ずフロロカーボンを使用しましょう。
私はリーダーにはナイロンラインを使う派ですが、先糸だけはフロロカーボンを選びます。フロロカーボンの特徴は「ハリがある」こと。このハリによって、先糸とメインラインの絡みを軽減できます。さらに、スイベルより上のリーダーより少しだけ細い糸を選ぶことが重要です。これにより、万が一ラインブレイクした際、スイベルより下で切れるため、フロートを失うリスクを軽減できます。
フロートリグを扱うタックル
フロートリグを扱うタックルは、ジグ単用タックルとは分けて考える必要があります。フロートは10g前後のものを投げるため、それに対応したロッド・リール・ラインを選ぶことが重要です。
ロッド
フロートリグでは、ルアーウェイトの上限が10g程度に対応したロッドを選びましょう。私は月下美人 AJING 80ML-Tを使用しています。メバリング・アジングのどちらにも対応できる万能ロッドです。

リール
フロートリグでは、糸巻き量が十分に確保できるリールが適しています。
ダイワなら 2000番~2500番クラスが目安となり、私は月下美人X LT2000Sを使用しています。
メインライン
私はPEライン 0.6号を150m巻いています。
- 飛距離がしっかり出る
- 高切れのリスクを軽減できる
銀メバルやヒラスズキにも対応しやすい- 他の釣りにも流用しやすい
これらの理由から、0.4号よりも0.6号を推奨します。アジング用のPEラインである必要は無く、それより10mごとに色が分けられているタイプのラインをおススメします。というのも、遠投してデッドスローに巻いている際、何m先でバイトがあったか知りたいからです。
リーダー
リーダーのセッティングは次の通りです。
接続部 | 素材 | 号数 (強度) |
---|---|---|
PEライン ⇔ スイベル | ナイロン | 10lb |
スイベル ⇔ ジグヘッド | フロロカーボン | 7lb |
このリーダーセッティングのポイントは、先糸(スイベルより下)の方を細くし、フロロカーボンを使うことです。
7lbは絶妙な強度で、
- 25cm程度のメバルや尺アジは余裕で抜き上げ可能
銀メバルやヒラスズキにもある程度対応できる
というバランスの良い設定になっています。
フロートリグの使い方
キャストの注意点
フロートリグは絡みやすく、重量のあるリグのため、適切な投げ方が重要です。
- キャスト方法
- 垂らしを長めに取る(フロートを基準に設定)
- ペンデュラムキャストに近い形で投げる
- テイクバックを大きく取り、リグの重量を竿に乗せる
- 竿を曲げるイメージでキャストする
- 投げる手と反対の手を振り下ろし、てこの原理で投げる
- テイクバック時にジグヘッドが地面や障害物に引っ掛からないよう注意
- 着水直前のフェザリング
- フロートリグはフロートがジグヘッドより重いため、フロートが先行して飛ぶ
- フェザリング(スプールに指を当ててブレーキをかける)を行い、ジグヘッドとリーダーの絡みを防ぐ
- これを怠るとジグヘッドがリーダーやPEラインに絡み、解くのに時間がかかる
操作方法
- 基本的な使い方はジグ単と同じ
- ただし、飛距離が出ている分、風の影響を受けやすいので注意
フッキング
- フロートの抵抗があるため、しっかり力を伝える必要がある
- ジグ単よりも大きめにアワセを入れる
裏ワザ:ガン玉で簡単レンジ調整
フロートリグにはキャロとは異なる特性があり、さらに残浮力の違いによって沈下速度を調整できることを解説しました。ただし、状況に応じてフロートを使い分けるのは面倒ですし、時合いの最中にリグを組み直す時間はもったいないですよね。
そこで、ガン玉を使ったカスタムを紹介します。これはあくまで私の個人的な工夫であり、「それっぽい」調整ができる方法と考えてください。
ガン玉を使うメリット
ウキ釣りやスプリットショットリグで使われるガン玉をフロートリグに応用します。ガン玉はプライヤーで簡単に付け外しができるため、フロートを交換するよりも圧倒的に手返しが良くなります。
💡 目安となるガン玉の重さ
- 3B(約1g)を基準に、必要に応じて個数を調整
ガン玉の取り付け位置と影響
① フロートの先(スイベル付近)に取り付ける
📌 メリット
✅ 縦の釣りが可能
- フロートが浮いた状態で、ガン玉より先を縦に落とすことができる
- アジは縦の動きに反応しやすいため効果的(尺アジの実績あり)
- 飛距離を伸ばしつつ、マズメ時にテンポよく探れる
📌 デメリット
❌ フロートが遊動するため、スイベル付近で振動が発生
- ライトゲームではこの振動がストレスになる場合も
✍ 主にアジングで有効なセッティング
② フロートの手前に取り付ける
📌 メリット
✅ キャロライナリグのように横の釣りが可能
- 表層で反応がない時、中層レンジへ変更しやすい
- レンジコントロールが容易
📌 デメリット
❌ 実質的に固定式となるため、感度が落ちる
- 遊動式と比べて、フロートの動きが制限される
✍ ルアーを横に引くシチュエーションで有効
結論:どちらを選ぶべきか?
✅ 縦の動きで誘うなら → フロートの先に取り付ける
✅ レンジを一定に保つなら → フロートの手前に取り付ける
個人的には、フロートの先に取り付ける方が好みです。実際の釣行シーンに応じて、使い分けてみてください!
フロートリグが釣れる理由
フロートリグがなぜ有効なのか、私なりの見解をまとめました。これまで述べた利点に加え、以下の3つのポイントが釣果に直結していると考えています。
1. 圧倒的なレンジキープ能力
他のリグ(特にジグ単)は、アングラーの技量によってレンジキープのしやすさが大きく変わります。
- ジグ単の場合、
- 巻き速度を一定に保つ技術が必要
- 距離が変わると巻き速度も調整が必要
- ジグヘッドの重さによっても最適な巻き速度が異なる
一方で、フロートリグは表層の一定のレンジを簡単にキープできるため、アングラーの技量を補うことができます。
📌 ポイント
✅ レンジキープが容易で、狙ったレンジを正確に攻められる
✅ 表層を意識している魚には圧倒的なアドバンテージ
ただし、魚が表層を意識していない場合はレンジ変更が必要になります。
2. 食い込みの良さ(ミスバイト軽減)
ジグヘッドは軽いほど魚が口に吸い込みやすくなるため、フロートリグはミスバイトが減ると考えています。
特にアジはバイト時に吸い込む動作が強いため、軽いジグヘッドの方がフッキング率が上がる傾向にあります。
📌 ポイント
✅ 軽量ジグヘッドを使用できるため、アジの吸い込みが良くなる
✅ ジグ単よりもラインテンションが弱く、違和感を与えにくい
ただし、ジグ単のような「手元に伝わる感度」とはトレードオフになります。
3. 自然な不規則アクション(波の影響)
フロートリグは、フロートが波の影響を受けやすいため、ジグヘッドの動きが等速直線運動になりにくい特徴があります。
- 波がフロートを揺らす → ジグヘッドも自然に揺れる
- ジグ単では再現しにくい "ゆらゆら" とした動きが生まれる
- 波のピークを超えたタイミングで "自動フォール" が発生(アジはフォールでのバイトが多い)
📌 ポイント
✅ ナチュラルな動きで違和感なく魚を誘える
✅ アクションをつけなくても、勝手にフォール姿勢が生まれる
ジグ単でも不規則な動きを演出できますが、それにはアングラーの技術が必要です。フロートリグなら、誰でも簡単に "自然なアクション" を演出できるのが強みです。
結論:フロートリグが釣れる理由まとめ
🎯 アングラーの技量を補い、魚に違和感を与えず、ナチュラルな動きができるリグだから
✅ レンジキープが容易 → 魚がいる層を安定して攻められる
✅ 軽量ジグヘッドで食い込みが良い → バイトが深く、ミスが減る
✅ 自然な不規則アクション → 波の影響で勝手にフォールが入り、バイトを誘発
フロートリグのデメリット
これまでフロートリグのメリットを中心に紹介しましたが、当然デメリットも存在します。実際の釣行で感じるマイナス面を4つ挙げます。
1. タックルがもう1セット必要
フロートリグはジグ単用タックルでは投げられないほどの重量があるため、専用タックルが必要になります。
🛠 対応できるロッド
✅ フロートリグ専用ロッド(アジング/メバリング用)
✅ エギングロッド(ML~Mクラス)
✅ シーバスロッド(Lクラス)
代用は可能ですが、やはり専用ロッドの方が扱いやすいです。ジグ単とフロートリグを併用する場合、タックルを2セット持ち歩く必要がある点はデメリットになります。
2. セッティングの手間がかかる
フロートリグはパーツが多いため、リグの組み立てに手間がかかるのが難点です。
🔧 必要なパーツ
- フロート
- シンカーロック
- スイベル
- 先糸(リーダー)
- ジグヘッド
ジグ単と比べると作成が面倒なうえ、時合(魚の活性が高い時間)にリグを変更するのは時間ロスになります。
3. 絡みやすい(特にキャスト時)
フロートリグは、キャスト時にラインが絡みやすいリグです。
特に、着水時にジグヘッドがフロートやリーダーと絡むトラブルが発生しやすいため、フェザリング(着水前のブレーキ)が必須になります。
📌 絡みを防ぐコツ
✅ キャスト時は「ペンデュラムキャスト」を意識する
✅ 着水直前にフェザリングをしてフロートとジグヘッドを整列させる
PE本線と絡むと解くのが大変なので、キャストには丁寧さが求められます。
4. ジグ単の「ダイレクトな面白さ」には欠ける
フロートリグは、ジグ単と比べてダイレクトなアタリを感じにくいです。
- ジグ単の魅力 → 直接手元に伝わる繊細なバイトを掛ける面白さ
- フロートリグの魅力 → 大きな個体を狙える&広範囲を探れる
🎣 どちらを選ぶかは好みの問題
✅ 「細かいアタリを取る繊細な釣り」が好きならジグ単
✅ 「遠投して広範囲を探りたい&大きい魚を狙いたい」ならフロートリグ
ただし、フロートリグの方が大型が釣れる確率は高いので、サイズを狙いたいならフロートも選択肢に入るでしょう。
まとめ:フロートリグのデメリット
❌ 専用タックルが必要(ジグ単タックルと併用しにくい)
❌ リグの準備が面倒(パーツが多い&時合のロス)
❌ キャスト時に絡みやすい(フェザリング必須)
❌ ジグ単のようなダイレクトな楽しさには欠ける
それでも、飛距離・レンジキープ・食い込みの良さといったメリットは大きいので、場面に応じて使い分けるのがベストですね!
まとめ:フロートリグの魅力と活用法
フロートリグは、ジグ単では届かないポイントを攻めることができ、レンジキープ能力や食い込みの良さにも優れたリグです。一方で、専用タックルの必要性や絡みやすさ、リグの組み立ての手間といったデメリットもあります。
🔹 フロートリグのメリット
✅ 遠投性能が高く、広範囲を探れる
✅ レンジキープが容易で、初心者でも安定した釣りができる
✅ ジグ単よりも食い込みが良く、ミスバイトが減る
✅ 波の影響を受けて不規則な動きを生み、バイトを誘発しやすい
🔸 フロートリグのデメリット
❌ 専用タックルが必要(ジグ単タックルと兼用できない)
❌ リグのセッティングが面倒(パーツが多い)
❌ キャスト時に絡みやすく、フェザリングが必須
❌ ジグ単のようなダイレクトなアタリの面白さには欠ける
🎣 どんな場面で使うべき?
🔹 ジグ単では届かない沖のポイントを狙いたい
🔹 潮が効いていてレンジキープが難しい状況
🔹 不規則なアクションを演出したい
🔹 サイズアップを狙いたい
🛠 フロートリグを最大限活かすコツ
✔ キャスト時はペンデュラムキャストを意識する
✔ 着水直前にフェザリングして絡みを防ぐ
✔ バイト時はジグ単より大きめにアワセを入れる
✔ ガン玉を活用してフロートの浮力調整を行う
結論:フロートリグは強力な武器になる!
フロートリグは、ジグ単では攻めきれない場面を攻略できる優れたリグです。セッティングの手間はあるものの、その分釣果に直結する強力な武器になります。
「ジグ単+フロートリグ」の二刀流で、さまざまな状況に対応できるようになると、より幅広い釣りを楽しめるでしょう!
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